特定の環境における対策~とある美術館の設置事例
2022.03.10 17:02
今回はとある美術館に設置した時の話になります。
設置場所を具体的に公開しないのは場所や名前を公開するのに様々な許可がいるからだそうです。
設置した当初も事例としては弊社としては珍しいケースであったのは事実です。
この事業を始めてから、当初は”特定の業界”しか需要がないと思っていましたが、最近では様々な業種でのお問い合わせも頂いており多様なシーンで活用いただける可能性があるのだなと、感じております。
どの都道府県に行っても美術館はありますし、実際弊社の近隣にも美術館やそれに準じた施設はあります。設置前にお話を聞いた時は少し偏見があったのも事実です。
施設の中にはレストランやお土産コーナーが入っている事が多いようです。実際に調べてみると休業または閉業している事も少なくはありません。
そこまで集客が入らず、売上が立ちにくいのか、あるいは人員不足の問題なのか理由は様々あるとは推測できます。
コアなファンしか入館しないという感じもあって集客がない=杯数もでない・売れないというイメージは少なからず持っていました。
今回の美術館も同様で、改装に伴うレストラン閉鎖でその代替としてとの考え方でした。
実際に設置した場所は、美術館の「多目的ホール」という場所です。
こちらの美術館の中心部に位置し、設置当初はイスやテーブルを置いてコミュニケーションスペースのようになっていました。
設置当日は先方の準備ばっちりで設置前提で水道管も引っ張ってくれる、専用スペースは用意していただけるなど、準備は万端でした。
実際に設置したイメージはこんな感じというのを載せたいのですが、全体を掲載するのはNGなので感想をのべるとマシンの横に巨大なブロンズ像があるので、とりわけコーヒーマシンが小さく見えます。
それだけスケールが大きい場所というのもあり、今までに設置した空間とは異なった為、それで違和感を感じただけなのかもしれません。
設置する前に気になったのは「売れる確率」です。実際の所、集客数どれぐらいなの?となりました。
実際、美術館なんて1年に何回行くの?となるとちょっと疑問でした。それだけ集客があるのか?
1日平均で様々な世代を合計して50~200人らしいです。
計算で行くと買上率平均で10~15杯ぐらいかな、と推測しました。
何でこんな低い数字で見積もったかというと固定客というのが考えにくいからです。これまで設置事例と違って基本的に入場は無料でないケースも多く、入館料もいりますしね。
もう1つ気になった所は、休館日が異常に多かった事でした。なんでも1回の展示が変わるごとに、大幅にレイアウトをかけなければならないらしく。結構休みが多いという事らしいです。
休館日も当然ありますし、稼働日数も減り総杯数も減る、となるとちょっと厳しいかなという所でした。
初めて来館された方でコーヒーを購入して頂くには設置する以前に何らかの対策をしなければならないと、なりました。
1度入館するとすぐに出ていくというのはないとはいえ、どうにかして買上率を上げなければなりません。
杯数もそうですが、結果として、さまざまな世代で楽しんでもらうのにコーヒーだけだと少し乏しいという事に結論に至りました。
苦肉の策で今まで未開放だったオプションパーツを使いました。
「パウダーユニットの取り付け」
簡単に言うとこれは、本体側面に取り付ける事で、コーヒー+αの材料で混合する事が出来ます。
メニューとしてはレギュラーコーヒーにカフェオレとかココアが出来る仕様に出来る事です。
今となっては当たり前の仕様と思われがちですが、なぜ弊社は最初からそうした提案をしなかったのか、とう言うのは様々な理由があります。
①レギュラーコーヒーに粉系の物を混ぜると、結果インスタントっぽくなる。というのはありました。
②日々の掃除が大変になります。広告なので「掃除・お手入れは簡単」なんてよく見ますが、実際に慣れていない人が慣れるまでの時間を要します。
と、メニューのバリエーションが増える半面、デメリットが同じように増えるからです。
そうかといって、バリエーション増えるから既存の設置店にもバンバンつければ、杯数が簡単にあがるんじゃない?
と思いがちですが、あくまで基礎ベースであるコーヒーが一定の杯数出るのが見込めた上で、取り付ける事で売上が見込めてきます。
通常の喫茶店においても売上の内訳で一番売れるのは当然コーヒーになります。
「サイドメニューで売上稼げ」は最初の段階から通常では厳しいものです。
何よりも一応、コーヒー屋ですからね、ほんとはコーヒーだけで勝負したい所。
ただ、今回はこれまで設置したケースなどと違って、子供来館可能性もある事から、何とか買上率を上げようと考えました。
それで、最初から取り付けたわけです。とりあえず、トライしてみて結果を見てみようと考えました。
結果的にオプションユニットを取り付けた結果は実績で出ました。
1年休んでいたのもあって、グランドオープン初日は1日で285杯出たようです。
新品を投入したとはいえ機械が耐えたのも少し驚きでした。
コーヒーとコーヒー以外の内訳は5:5ぐらいの比率。ちょうど半々です。
今まで設置した環境も閉鎖的な環境で一定な客数を見込んでいたのでコーヒーだけでも良かったですが、こうした年齢制限がない基本的にない所はこうしたオプションユニットを取り付けるのもアリだなとは思いました。
当日以降も20~70杯と月~金と土・日でムラがあるものの、月間で単純に割り算しても平均で30杯はキープしていました。
営業時間・稼働日数が少ないのも充分カバー出来ておりました。
基本的に「飲食の持ち込み禁止」なので、これしか買えないという状況もプラス効果です。一応、他にも自動販売機は設置されているのですが、休憩スペースとも言える場所にあるのはこのマシンだけでした。
実際、誰かが一人買うと、その周辺の人は全員つられて買っているという印象を受けました。
美術館などは日ごとのイベントがなくても月ごとに特定の個展など開催されると、世代や性別などが偏らずに流動的になるというのもプラスに作用するようです。
とはいえ最初の懸念事項は、ある程度解消されて良かったです。
最近では、昨今の事情からの規制によって休館も増えたり、イスを減らし、様々な条件下で実施している為、ここ1年半近くは設置当初の勢い程はないのも事実です。
それでも、現状でも開館した際には、上記のプラス効果で杯数も安定している事から、一定の集客がいる事が推測出来ます。
状況が改善されてこれば、以前のようにさらに杯数が見込める、良い導入事例ではありましたね。
場所の公開が後日改めて出来るようになれば、その後の話を掲載できればなとは思います。