ホテルで働く人にも、お客様にも。焙煎したての珈琲を届けるために。
2026.09.07 18:39
ホテルにとって、珈琲は決して脇役ではありません。
朝食のあとに飲む一杯。
チェックイン後、ラウンジでゆっくり楽しむ一杯。
食事の最後にいただく一杯。
旅行先で飲んだ珈琲の香りが、その旅の記憶として残っているという方も少なくないでしょう。
今回、ヨシムラコーヒーでは、関西圏の温泉地にある会員制リゾートホテルへ、
全自動ドリップコーヒーマシンを導入しました。
もちろん、今回の導入はホテルのお客様に提供するためだけではありません。
このホテルでは、従業員の皆様が利用するスタッフ用食堂にも全自動ドリップマシンを導入しています。
さらに、ホテルのラウンジでもコーヒーマシンを使用していただいています。
一見すると、「ホテルにコーヒーマシンを導入した」というだけの話に見えるかもしれません。
しかし、私たちが今回大切にしたのは、その先にある部分でした。

まず、働く人に飲んでもらう
ホテルという場所では、表に見えているサービスだけが仕事ではありません。
フロント、レストラン、清掃、調理、施設管理など、多くのスタッフが一つのホテルを支えています。
特に年末年始や大型連休などのハイシーズンになると、多くのお客様を迎えるため、現場の忙しさも増していきます。
そんな環境だからこそ、スタッフの皆様にも、きちんとした珈琲を飲んでいただきたい。
それが今回の導入の一つのきっかけでした。
ヨシムラコーヒーは神戸で自社焙煎を行っています。
私たちが大切にしているのは、焙煎したての珈琲を、できるだけ良い状態で飲んでいただくこと。
それをホテルで働く皆様にも、まずは一人の「珈琲を飲む人」として体験していただく。
そこに意味があると考えました。
「自分が美味しいと思ったもの」だからこそ伝えられる
ホテルのサービスでは、スタッフがお客様に商品やサービスの魅力を説明する場面があります。
しかし、実際に自分が使ったことも、飲んだこともないものを説明するのは難しい。
反対に、自分自身が日常的に飲んでいて、
「これ、美味しいですよ」
と思えるものなら、その言葉には自然な説得力が生まれます。
今回、スタッフ用食堂にもコーヒーマシンを導入したのは、まさにそこです。
まず従業員の皆様にユーザーになっていただく。
毎日の仕事の中で珈琲を飲み、その味や香りを知っていただく。
そして、もしお客様から珈琲について聞かれたときに、
「スタッフもこの珈琲を飲んでいます」
「神戸で焙煎した珈琲なんですよ」
と、実感を持って話していただければ、それは一つのサービスになる。
商品を納入して終わるのではなく、ホテルで働く人自身が珈琲の良さを知ることまで含めて、今回の導入だと考えています。
ヨシムラコーヒーのコーヒーマシンという選択
今回導入したのは、ヨシムラコーヒーが取り扱う全自動ドリップコーヒーマシンです。
ホテルの現場では、安定した品質と提供のしやすさが重要になります。
忙しい時間帯でも、一杯ずつ手軽に抽出できる。
そして、必要なときに香りの良い珈琲を提供できる。
スタッフ用食堂であれば、休憩時間に自分で淹れて飲むことができます。
ラウンジであれば、お客様に提供するための設備として活用できます。
一台の機械でも、置かれる場所によって役割は変わります。
だからこそ、今回も単純に「このマシンがおすすめです」という提案ではなく、ホテルの使い方に合わせて導入しています。

ホテルのために、珈琲そのものも選び直す
そして、もう一つ重要だったのが珈琲豆です。
ホテルで提供する珈琲だからといって、単純に「高級な豆を使えばいい」という話ではありません。
旅行に来たお客様が一日の中で飲む珈琲。
温泉に入り、食事を楽しみ、ゆっくりとホテルで過ごす。
その時間に合わせるなら、あまり尖った味ではなく、ゆったり飲める味のほうがいい。
そこで今回の珈琲は、ホテルの料理長様、支配人様にも試飲していただきながら、味を決めていきました。
目指したのは、まろやかでフルーティーな一杯
完成したのは、非常にまろやかな味わいを持つブレンドです。
深煎り珈琲にありがちな強い苦味だけを前面に出すのではなく、珈琲が本来持っている果実由来の香りや甘みを感じられるように仕上げています。
珈琲豆は、もともとはコーヒーチェリーという果実です。
そのため、品種や産地、精製、焙煎によっては、果実を思わせるような香りや甘みを感じることがあります。
今回のブレンドでは、そうした珈琲の「フルーツとしての魅力」をできるだけ活かしながら、ホテルで幅広いお客様に楽しんでいただけるよう、味わいをまろやかにまとめました。
苦味が強すぎない。
酸味も尖りすぎない。
それでいて、飲み終わったあとに珈琲の香りがきちんと残る。
旅行の時間に寄り添う珈琲として、そんなバランスを目指しました。

「ホテルで飲んだ珈琲」が旅の記憶になる
ホテルで過ごす時間には、普段の生活とは少し違った特別感があります。
朝起きて、窓の外の景色を見る。
温泉に入る。
食事をする。
ラウンジで珈琲を飲む。
一つひとつは特別なことではなくても、その場所で過ごした時間全体が旅行の思い出になります。
だからこそ、ラウンジで提供される珈琲にも意味があると思っています。
ドアを開けた瞬間に感じる香り。
食事のあとに飲む一杯。
少し休憩しながら味わう珈琲。
そうした何気ない瞬間が、
「あのホテルで飲んだ珈琲、美味しかったな」
という記憶につながるかもしれません。
私たちが目指しているのは、単に「美味しい珈琲を納品する」ことだけではありません。
そのホテルで過ごす時間の中に、珈琲という小さな価値を加えることです。
忙しいスタッフにも、一杯の余裕を
そして、これはお客様だけの話ではありません。
ホテルで働く皆様にも、同じように珈琲を楽しんでいただきたい。
特に忙しい時期には、休憩時間に飲む一杯が、ほんの少し気持ちを切り替えるきっかけになることがあります。
香りを感じながら珈琲を飲む。
少し深呼吸する。
そして、また仕事に戻る。
珈琲に含まれるカフェインも、仕事中の気分転換や集中したい時間に役立つものです。
もちろん、それ以上のことを珈琲に求めるわけではありません。
ただ、忙しい現場の中に、「美味しい珈琲を飲める」という小さな余裕があることは、決して悪いことではないと思います。
お客様へのサービスは、働く人から始まる
今回の導入を通じて、改めて感じたことがあります。
ホテルのサービスは、お客様の目に見えるところだけで完成するものではありません。
そこで働く人が気持ちよく仕事ができる環境。
スタッフ自身が商品やサービスの良さを知っていること。
そして、その気持ちが自然にお客様へ伝わっていくこと。
そうした積み重ねが、最終的なホテルの印象を作っていくのではないでしょうか。
だからこそ、従業員食堂に置く珈琲も、決して「スタッフ用だから適当でいい」とは考えません。
むしろ、毎日働く人に飲んでもらうものだからこそ、きちんとした珈琲を届けたい。
その珈琲を知っているスタッフが、今度はお客様にその魅力を伝えてくれる。
そんな循環が生まれれば、珈琲一杯でもホテルのサービスの一部になっていくと思います。
人とのつながりから生まれた一杯
今回の珈琲も、一方的にヨシムラコーヒーが決めたものではありません。
ホテルの料理長様や支配人様に実際に試飲していただき、意見を伺いながら何度も調整しました。
ホテルで提供する料理。
ホテルを訪れるお客様。
ラウンジで過ごす時間。
そしてスタッフの皆様が日常的に飲む珈琲。
それぞれを考えながら、最終的な味を決めています。
私たちヨシムラコーヒーが大切にしているのは、こうした人とのつながりです。
珈琲は豆を焙煎して終わりではありません。
どこで、誰が、誰のために飲むのか。
そこまで考えて初めて、その場所に合った珈琲ができる。
今回の一杯も、そうした試行錯誤の中から生まれました。
一杯の珈琲が、ホテルの時間を少し豊かにする
温泉地を訪れるお客様にとって、ホテルで過ごす時間は旅の大切な一部です。
そして、そのホテルで働くスタッフの皆様にとっては、そこが毎日の仕事の場所です。
同じ一杯の珈琲でも、立場によって意味は変わります。
お客様にとっては、旅先でのくつろぎの一杯。
スタッフにとっては、忙しい仕事の合間の一杯。
だからこそ、その両方に美味しい珈琲を届けたい。
神戸で焙煎した珈琲が、ホテルで働く皆様の日常に入り、そこからお客様へのサービスにもつながっていく。
そして、旅行に訪れたお客様の記憶の片隅に、
「このホテルで飲んだ珈琲、美味しかったな」
という印象が残れば、珈琲屋としてこれほど嬉しいことはありません。
ホテルという特別な場所だからこそ、珈琲もその時間にふさわしいものでありたい。
今回の導入は、単なるコーヒーマシンの設置ではなく、「働く人にも、お客様にも、良い珈琲を届ける」という考えから始まった導入事例です。
これからもヨシムラコーヒーは、ただ珈琲豆や機械を届けるだけではなく、その場所で過ごす人にとって、珈琲がどんな役割を持つのかまで考えながら、一杯を作っていきたいと思います。